親などから土地の贈与をされると、贈与税を課されることがあります。ここでは、贈与税計算について、贈与税計算のもとになる土地評価額や注意しておきたい土地名義についてご紹介します。
土地評価額と贈与税の計算
贈与税の算出方法
贈与税の計算は、まず最初に、1月の年初めから12月末までの1年間で「贈与を受けた財産の合計額」を算出します。その合計額から基礎控除額110万円を引き、残りの金額に税率をかけます。一定の要件を満たす場合には、さらに控除額を差し引くことがあります。
◯計算式
贈与税 = ( 1年間を通して贈与を受けた財産の合計額 − 基礎控除額110万円 ) × 税率 – 控除額
土地の贈与税を計算するには贈与を受けた土地財産を評価した価格、つまり「土地評価額」を知る必要があります。土地評価額は、相続税評価額からわかります。
相続税評価額を計算する方法は「路線価方式」と「倍率方式」があります。路線価が定められている地域では路線価方式、路線価が定められていない地域では倍率方式が使われます。以下で詳しくみていきましょう。
◯路線価方式による計算方法
路線価方式では「路線価×地積」で計算します。
路線価とはその道路に面する宅地1㎡あたりをあらわす評価額をいいます。路線価を確認したい場合、国税庁のホームページの路線価図・路線価倍率表で見ることができます。
例えば、路線価が400,000円で、地積が200㎡の土地の場合、相続税評価額は 400,000 × 200 = 80,000,000円 となります。
◯倍率方式による計算方法
倍率方式ででは「固定資産税評価額×倍率」で計算します。
固定資産税評価額は毎年送付される固定資産税の納税通知書で知ることができ、倍率は国税庁のホームページに掲載されている評価倍率表で調べることができます。
例えば、固定資産税評価額が3,000万円で倍率が1.1である土地の場合、相続税評価額は、 3,000万円×1.1=3,300万円 となります。
土地にかかる贈与税の節税、夫婦間の贈与では節税できる?
こちらでは贈与税の負担をできるだけ軽減する方法をご紹介します。
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、自宅の土地を贈与する場合には土地の価格2000万円までは非課税で贈与をすることができます。
国税庁のホームページによると、贈与税の配偶者控除を受けるには下記の要件を満たす必要があります。
(1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
(2) 配偶者から贈与された財産が居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭であること
(3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した 居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
引用元:夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除(国税庁)
■基礎控除110万円をうまく使う方法
毎年の贈与額が110万円を超えないように、段階的に贈与を行うことで、税金がかからないようにする方法をご紹介します。
110万円という金額は基礎控除と呼ばれ、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた金額から、この基礎控除額を引くことができます。そのため、1年間に贈与された額が110万円を超えなければ全額控除されることになります。
この方法の良い点は1人当たりの控除額が110万円と設定されているところにあり、例えば相続人が6人いれば、年間それぞれに110万円ずつ贈与でき、合計660万円まで非課税で贈与できます。また、数年間に渡って少しずつ贈与をしていくことで総額が大きくても節税になります。
■相続時精算課税制度
その他に、60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子供や孫に贈与する際には、相続時精算課税制度を選択することができます。相続時精算課税制度を選択した場合、それ以降の贈与については合計2500万円まで贈与税が非課税となります。
贈与税の課税標準額
課税標準額とは、税額を計算するにあたって、基礎となる課税対象を表すものです。したがって、税金の種類によって計算方法が違います。
課税標準額に税率をかけることで税額を計算します。以下で贈与税の計算と課税標準額について、ご紹介します。
贈与税と課税標準額
贈与税における課税標準額は、納税者が1月1日からから12月31日までに贈与によって取得した財産の合計額から基礎控除額として110万円を引き、その他特例や負担調整によって控除をして残った金額をいいます。
課税標準額の計算
課税標準額の計算は以下のようになります。
課税標準額=1年間で贈与を受けた財産の合計額-基礎控除額110万円-その他特例や控除
土地の名義変更と贈与税
土地の名義を変えることでも、贈与税は生じます。これについて簡単に見ていきます。
土地の名義変更にかかる贈与税
土地の名義変更すなわち登記名義を変えるためには、変えるための原因というものが必要になります。つまり、単に名前を変えるだけではないので注意が必要です。
例えば、父から子へ単純に名義変更したいといった場合でも、父から子へ無償で財産を譲る、贈与契約によって名義を変更することになります。
そのため、名義変更は贈与と同じになるので、贈与税は、
(贈与財産額-110万円)×税率-控除額
という計算で求めることになります。
売買における贈与税と土地評価額
贈与税は無償で現金や不動産をあげる贈与だけでなく、有償で行われる不動産売買でもかかることがあります。
不動産売買で贈与税が発生する場合とは?
不動産売買で贈与税が発生するケースとして、不動産を時価よりも著しく低い価格で購入した場合があります。ここでポイントになるのが「時価よりも著しく低い価格」です。例えば、時価5000万円相当の土地を100円で購入したといった場合、これは無償であげたとほぼ同じ意味といえるでしょう。こういったケースでは贈与税が発生します。
課税される土地の評価額
路線価方式や倍率方式で算出される相続税評価額が、課税される土地の評価額となります。路線価方式では路線価×地積=相続税評価額で、倍率方式では固定資産税評価額×倍率=相続税評価額で、土地の評価額を計算します。