土地には、1物4価や1物5価などと言われるように、用途によって様々な評価額があります。中でも土地の相続税を知りたいときは、土地の評価額の中でも、「相続税評価額」を使います。
今回は、相続税評価額について解説します。固定資産税評価額とはどのくらい違うのでしょうか。
相続税と固定資産税のための土地評価額
まずは、土地の「相続税評価額」と「固定資産税評価額」の違いからみていきます。
相続税評価額とは
相続税評価額とは、相続や贈与を受けたときの税金計算に使用する土地家屋の評価額です。計算方法については後述します。
固定資産税評価額との違い
相続税評価額は相続税を計算するためのものです。一方で、固定資産税評価額は、固定資産税及び都市計画税の算出に係る評価額のことを指し、不動産取得税や登録免許税の算出などに使われます。
性質は異なりますが、両者には一定の相関関係があります。
具体的には、相続税評価額は公示価格の約80%、固定資産税評価額は公示価格の約70%となります。公示地価をもとに割合を割り戻すことによって、大体の相続税評価額の目安を算出することができます。
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土地評価額を調べるための路線価
相続税評価額はどのようにして決められるのでしょうか。
土地の路線価と相続税評価額の関係
土地には、路線価という税金計算のための価格が設定されています。具体的には、相続税や贈与税を知るための「相続税路線価」と固定資産税や都市計画税などを知るための「固定資産税路線価」の2種類があります。
相続税評価額は、前者の相続税路線価をもとにして決められます。
相続税路線価の見方や調べ方は?
相続税路線価は国税庁のホームページ(路線価図・評価倍率表)で調べることができます。
国税庁ホームページの路線価図・評価倍率表にアクセスし、地図上の都道府県名を選択。都道府県ごとの目次が表示されたら、路線価図を選び、該当場所を順に見ていくと自分の知りたい場所の路線価を確認できます。
相続税評価額の計算方法
「土地の相続税がいくらかかるか自分で調べたい」という方に、相続税評価額の計算方法を紹介します。
相続税評価額はどのように計算される?
相続税計算に使う、相続税評価額の計算方法をみていきます。
相続税評価額の計算には「路線価方式」と「倍率方式」があり、路線価が定められている地域では路線価方式が使われ、路線価が定められていない地域では倍率方式が使われます。
■路線価方式
路線価方式とは、「路線価 × 地積」で算出する方法をいいます。
路線価とは一言で表すと路線(道路)の価格であり、道路に面する宅地1㎡当たりの価格です。
例えば、路線価が200,000円で、地積が100㎡の土地の場合の相続税評価額は次のようになります。
200,000円×100㎡=20,000,000円
■倍率方式
倍率方式とは、「その土地の固定資産税評価額×倍率」で算出する方法です。
倍率は国税庁のホームページに掲載されている評価倍率表で調べることができます。
例えば、固定資産税評価額が1,000万円で倍率が1.2である土地の場合の相続税評価額は次のようになります。
1,000万円×1.2=6,000万円
相続税の確定申告
土地にかかる相続税申告についてみていきます。併せて、節税のテクニックや特例についても紹介します。
相続税申告は難しい?
相続税の申告期限は被相続人の死亡日から10カ月以内です。この間に管轄税務署に書類の提出をして税金の申告をしましょう。
なお、土地の正確な評価は難しいため、ご自身での相続税申告は困難といえます。もし相続財産を高く評価して、余分に納税してしまっても税務署は教えてくれることはありません。
そのため、相続税の申告にあたっては経験のある税理士に相談し、正確な土地評価を行ってもらう必要があります。
相続財産を不動産に変えると節税できる?
相続税の節税方法に、現金を不動産に転化するという方法があります。
相続財産を現金のままで持っておくと相続発生時の評価額はそのままとなりますが、不動産に転化することによって、資産価値自体はそれほど落とすことなく相続税課税の評価額を下げることができます。つまり、現金資産を不動産資産に変えることで、大きな節税効果が期待できるのです。
相続税節税となる小規模宅地等の特例とは?
小規模宅地の特例とは、土地を相続する場合に、一定の要件を満たすと、その土地の相続税評価額を最大80%まで減額できる制度をいいます。ただし、注意点として小規模宅地等の特例を使えるのは土地だけとなります。
小規模宅地等の特例が使える土地は住宅として使っていた土地、事業で使っていた土地、賃貸していた土地でなければなりません。そして、特例を受けるためには、相続を始めた日から相続税の申告期間である10か月間継続して、相続した宅地を使用していなければなりません。
また、上記で説明した条件に加えて、特例を受けることができる面積には上限が定められています。例えば、居住用宅地であれば330㎡、事業用宅地であれば400㎡となります。日本の一軒家は一般的に上記の上限を超えることはないので、対象とならないことが多いです。